出品酒チーム経過報告 11

全国新酒鑑評会に向けての、春の「秋田県清酒鑑評価会」がありました。
成績は、


蔵元駄文-秋田結果1

蔵元駄文-秋田結果2

惨憺たる有様!
昨年は、春はアル添酒も造ってたので、40~50位くらいがぽつぽつとあったのに。
今年は、138点中、
・119位(県内版佐藤卯兵衛の袋取りの酒と、古関の酒を混和したもの)
・114位(古関/津田のマッスルチームの酒=山田35%/酒こまち40%)
・125位(伊勢/森川の新屋チームの酒=山田35%/美郷錦40%)
・125位(佐藤/三野の年男チームの酒=酒こまち40%)

ガーン!!
と、相当勉強のできない四人息子の期末試験のような結果が!
まあ、予想通りでした。

というのも、秋田の酒の傾向は、キレイ/なめらかなのが基準です。
だからこそ、新酒鑑評会で、全国1~2位という高い金賞受賞率を誇るのです。

「酸が低い」のは、賞取りにおいては必須項目!
それに対して、酸がどうしても高くなる(というかアル添で薄めることができない)「純米」、
しかも自社の六号酵母(六號改)では、この秋田のステージでは、
とりわけ不利になるのは覚悟していました。

成績としては、
一番良かったのは、古関の酒ですが、それでも厳しい現状です。

ただし、まだ広島へ出品するには間があります。29日に社内の最終選考を行いますが、
それまで、他の酒もまだまだ調整を行える状況ではあります。

参考までにそれぞれの酒の解説を加えると、

・119位の「卯兵衛」×古関の出品酒は、これは対照として出しました。
半分くらい混和されている「卯兵衛」のほうは、これは半年から一年くらい熟成させる、
食中酒としても通用する市販酒です。糖分もあまり乗せないし、酵母も、
普通のきょうかい6号ベースです。なので、ここでは、「甘み乏しい」、
「酢エチ」とやられるわけです。

・125位の伊勢/森川の酒は、やはり雑味指摘が。あとはオフフレーバー指摘もありますが、
原因不明です。味わいに関しては、やや加水をほどこして飲みやすくしたりと、
まだ調整の余地はあり、作戦を練っている最中です。
あと、秋には相当上がってくるかもしれませんし、今後に期待が持てます。

・私と三野の酒は、出品されているのを知らなかった!
出品締め切りの前日に搾れたので、間に合ったとのことでした。
オリがあまり絡んでいない、相当綺麗な部分を取り分けて、火入れをして送付したのですが、
いわゆる火冷め香という、オフフレーバーが出ており、あとはやはりオリが少量あったのか、
粕や酵母の臭いがあったり、不利な状態でした。結果、125位。
むしろ、生酒で出してもらえば良かった—–



しかし、こうして客観的に見ても、笑っちゃうほど不利ですね。
「雪の美人」さんとか「白瀑」さんとか「福禄寿」さんとか、みんな
1○位とか、一桁の成績とか、普通にあるのに!
まあ、いいやと開き直っているところ、
続いて別情報が。


こちらは、同じマッスルチーム(古関/津田)の酒の、
山形県「新酒鑑評会」での結果です。

蔵元駄文-山形結果

山形県「新酒鑑評会」は、「純米の部」「吟醸の部」と二つにわかれています(素晴らしい)。
さらに「吟醸の部」は、酸度が1.4を境に、それ以上、それ以下で別々に審査されます。
これも相当気が利いていますね。

無論、古関/津田の酒は純米酒ですが、
本番の「全国新酒鑑評会」には、純米の部なんてものはありません。
アル添も純米もいっしょくたに評価されます。

ということで、「純米の部」があるにも関わらず、当蔵としては、
この「山形鑑評会」でも、ほとんどの酒がエントリーされる「吟醸の部」で申し込みました。

古関の酒は、酸度は1.6相当あります。
(新酒鑑評会では、酸度の平均が1.3程度ですので、1.6といえば相当高いです)

なので、「吟醸の部」の「酸度1.4以上の部」にエントリーされたのですが、
これは相当いい成績が出ましたね。
「吟醸酒」の「酸度1.4以上」の部、71点中3位でした。
点数も相当高く、ほぼ「1」か「2」の採点。
酸度1.4以下の部を合わせても、良い成績にはなったろうし、
「もし、普通に純米の部に出てれば1位だったろう」とまでお墨付きをいただいて、
古関の鼻の下も相当伸びたようです。

同じ酒でも、秋田と山形でこれほどに、評価が違うことには驚きです。
まあ、先生達の味の好みもけっこう違いますし。
今回は山形的には「けっこう、アリかも」というところだったんでしょう。

思えば、昨年の例。
東京は北区王子。滝野川で開催される醸造協会開催の「杜氏セミナー」がありました。
ここでも、全国から酒が集まって、新酒鑑評会に向けての事前評価が行われるのですが、
なんと、昨年、ここで当社の酒が全体の3位の評価をいただきました。
滝野川的には「そうとう、アリかも」な酒だったわけです。
そしたら、本番では予選落ち!

ただ、こうしたことは、ままあります。
事前審査であまりにいい成績だと、本番ダメ。という例はジンクスとして、
腐るほどあるんですね。

というのも、審査会場では、前に並んだ酒がまずいか旨いかで、ある同一の
酒の評価はがらっと変わります。
例えば古関の酒が出品されたとして、その前に、
酸度が低い酒が置かれたら、古関の酒はことさら酸っぱく感じられるし、逆もありうる。
(プロとしては、そういう評価を下さないよう、できるだけ気をつけはするのですが)

全国では、西日本の酒とか、アル添でも1.6~7あるようなものは、ざらです。
だから、確かに酸度が高ければ不利ではありましょうが、
だからといって、即ダメ、というわけにはなりません。

結論、考えるだけ無駄なので、一喜一憂しない。
ということでしょうか。